家庭が居場所であることの重要な役割

皆さんのお子さんは自分の家に
居場所感を感じているでしょうか?
自分の家が安心できる場所であると
感じているでしょうか?

子供が「居場所感」を感じられる場所を
持っているというのは、非常に大事なことなのです。

小さな子供が興味本位で
あちこち歩き回っていることを想像してみて下さい。
もしその子どもがびっくりしたり怖いものにであったりしたら、
お母さんのところに一目散に戻りますよね。
これはお母さんのところにいると、
安心を感じられるから戻ってくるわけです。

逆に言えば、
お母さんという安心できる居場所があるからこそ、
いろいろな場所を歩き回ることができるのです。
いつでも安心できる場所に戻って来られるという安心感が、
未知の場所に足を踏み出すことができる橋頭堡(よりどころ)になるのです。

安心感を得られない場合は
恐怖を感じることになります。
そして恐怖を感じると
安心できる場所を探し求めるようになります。
小さい子が泣いてお母さんを探し求めるというように。

では、成長した子供の場合はどうでしょうか。
安心感を得られている子供は、
学校生活なり部活なり、又はその他の社会的活動に
積極的に参加をすることができます。
さらに成長すれば就職活動といった
社会人に向けた一歩も問題なく踏み出すことができます。

しかし、安心を感じられていない子供は、
勉強や仕事において常に恐れや不安と闘いながら生活をすることになります。
意識的にしろ、無意識的にしろ心の拠り所を探し求めるため、
勉強や仕事に集中できない症状となって現れてくる場合もあるでしょう。

不安や恐れを感じているというのは
それだけでエネルギーを消費します。
不安や恐れのエネルギーを消費しているうちは、
新しく勉強することや新しい仕事を覚えるといったことに
割けるエネルギーがそれだけ少なくなるのです。

発達心理学では、子どもが安心できるお母さんのことを
「安全基地(secure base)」という言葉で表します。
勿論、これはお母さんに限った話ではなく、
心の底から安心できる対象ならどんな存在でも構いません。
養母でも、近所のおじさんでもいいのです。

ボウルビィという人が、
どんなときにこの安全基地が子どもに有効かを2点挙げています。
1つは、安心できる対象がすぐ傍にいるとき。
子どもの傍にお母さんがいれば、子どもは安心していますよね。
もう1つには、お母さんのような存在がすぐ傍にいなくても、
いつでも安心できる場所に帰れる、いつでもお母さんが相談に乗ってくれるという安心感を確信している状態を挙げています。
2つ目は、要するに傍にいなくても、
安全基地は有効だとボウルビィは言っているのです。

学び安の「安」は「庵」という意味もありますが、
子どもたちが「安心」できる場所になるようにという願いも込めています。
2つ目の傍にいなくても子どもたちが安心感を感じてくれる、
そんな場所を目指して日々精進していきたいものです。

 

参考:田島信元ほか編(2016)『新・発達心理学ハンドブック』、福村出版


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