勉強の環境を整える②

子どもが自分から勉強するようになる環境には

3つの条件を整えることが必要であると書きました。

それは

 ・勉強する時間を決める

 ・勉強しかできない場所に行く

 ・勉強している人の近くに行く

この3つでした。

 

今回の記事では、

2つ目の「勉強しかできない場所に行く」に焦点を当てて、

詳しく解説していきたいと思います。

 

 

まず、

そもそもなぜ「勉強しかできない場所」に

わざわざ行かなければいけないのか。

 

どこで勉強しても同じではないのか、

そういう疑問を抱かれる方もいるかもしれません。

 

しかし、

一概にそう言うことはできないのです。

 

なぜ「勉強しかできない場所」に

わざわざ行かなければいけないのか、

その疑問を解決するには、

「意志力」という側面から

説明してみたいと思います。

 

 

「意志力」とは

まず、「意志力」とは何なのかご説明します。

 

「意志力」とは、

「よし、今から○○をやろう!」と何かを始めるときや

「いや、今は○○をすべきではない」と我慢するときに使う

エネルギーのことです。

 

意志力がエネルギーだということは、

意志力にはエネルギーの性質があるということです。

 

そのエネルギーの性質とは、

「使うと消耗する」という点です。

 

車のガソリンや

携帯電話のバッテリーを

想像して下さればお分かりになると思います。

 

だから、

「○○をやろう」とする心の働き(意志)を、

使えば使うほどゼロに近づきます。

 

意志力は量に限りがあり、

しかも、あれもこれもやろうとすると「決定疲れ」という

現象を起こしてしまうのです。

 

「決定疲れ」とは、

エネルギーがゼロに近い状態、

またはゼロになってしまった状態です。

 

決定疲れを起こすと、

意志力を使って普段我慢していることを

抑制する力がなくなるので、

刺激や欲望に従いやすくなります。

 

例えば、

間食が増えたり、

ジャンクフードを食べたり、

衝動買いが増えたり、

寝坊をするようになったりします。

 

「我慢する」という意志が弱くなるので、

上記のような普段我慢していることに

忠実に従うようになります。

 

これを勉強に置き換えれば、

勉強をせずに、

・スマホをチェックする

・テレビを見る

・お腹が空いたような気がしてお菓子を食べる

・友達と勉強するはずがお喋りしてしまう

・睡眠時間が増える(寝坊も含む)

 

「決定疲れ」を起こすと

全体的に勉強時間が減る傾向にあります。

しかも、この「決定疲れ」は

様々な要因とストレスが原因で、

テスト週間中に起こりやすいです。

 

 

どうしたらいいのか

解決策はシンプルです。

意志力を使わないようにすることが大事なのです。

 

意志力を使わずに温存しておき、

ここぞというときに意志力を使うのです。

 

「意志力を使わない」と言っても

どうすればいいのでしょうか。

 

実は方法はいくつかありますが、

ここではその中の一つをご紹介します。

 

 

それは、

意志力を使わないような

「環境」を整えるようにすればよいのです。

 

それが、

冒頭に書いた「勉強しかできない場所に行く」の正体です。

 

例えば、

勉強をする部屋に

「スマホ」「タブレット」「テレビ」「マンガ」「ゲーム」など、

誘惑するものがあると、

その誘惑を我慢することに意志力を使ってしまいます。

 

我慢に意志力を使えば、

そのうちに意志力は底を突き、

その結果集中力が切れ、

勉強から離れることになります。

 

少し横道にそれますが、

上に挙げた誘惑の中で「スマホ」は

群を抜いて意志力を消耗するアイテムです。

 

なぜなら、

「通知」の機能があるからです。

 

・メッセージが入ったとき

・ゲームの体力が回復したとき

・SNSで友達の記事に更新があったとき

・キャンペーンなどの広告

・生放送などのリマインド

等々。。。

 

具体的に挙げればきりがありませんが、

こういう着信に対して、

一回一回意志力を使って我慢していたら、

短時間の内に意志力は消耗し、

一日としてそれはもたないでしょう。

 

こういう誘惑が近くにあると、

意志力を使い果たしてしまうので、

その誘惑から離れようという提案です。

 

 

勉強しかできない場所に行く

「勉強しかできない場所」は単純に2種類考えられます。

 

 ・今いる場所を勉強しかできないように環境を整える方法

 ・勉強しかできない場所に実際に足を運ぶというその環境(場所)に移動する方法

 

の2種類です。

前者は、家庭の学習環境を変更するのです。

具体的には、

・掃除(断捨離)

・模様替え

・ルール作り

などで対応するとよいでしょう。

 

掃除は、

ただ部屋を片付けるというより、

要らないものを思い切って捨てるのです。

 

極端な例を言えば、携帯電話をお子様が持っている場合は、

解約して、機体を持たせないようにしてしまうのが一番いい方法です。

残念ながら、この極端な例が一番効果的なのです。

 

模様替えも同じで、

部屋からテレビやマンガを一掃するようなものが理想的です。

それに近づけるように模様替えをするとよいでしょう。

 

ルール作りは、

意志力が低下しているときには

あまり効果的とは言えませんが、

例えば

「自室で勉強するときはスマホはリビングに置いていく」

等の約束を自分と(または親と)するということです。

 

ここに挙げたのは、

極端な例もありましたが、

勉強に向く環境を整えるというのは、

案外、大変です。

 

そこで、

2つ目の方法をご紹介します。

 

それは、

勉強しかできない場所に足を運ぶというものです。

 

図書館や公民館なら無料で使うことができます。

もちろん、無料なのでそれなりのデメリットはあります。

(図書館などはすぐに満席になってしまうなど)

 

また、お金を払えば、カフェでも可能ですが、

うるさいところでは

集中できない人もいるので、

そういう人には向きません。

 

勉強するのに一番向いているのは、

勉強している人がたくさんいる場所です。

中学生なら塾や学校の自習室。

高校生なら予備校、

大学生なら大学の空き教室や大学図書館、

社会人なら有料自習室となります。

 

一つ目の選択肢を

「時間と労力を使って自分で環境を整える」、

二つ目の選択肢を

「お金を使って環境を整える」、

と考えてもいいかもしれません。

 

そこまで極端に分けなくても、

「勉強するときにスマホの電源を着る」

くらいの工夫は今日からできますので、

そういう小さな工夫の積み重ねと、

根本的な解決という大きな決断の組み合わせで勉強の環境が整う

と言うこともできます。

 

もちろん、

ここ学び安の自習室も選択肢の一つにして戴けると嬉しいですが、

この記事をきっかけに、

勉強する場所について

お子様と話し合ってみるのもいいかもしれません。

 

次回は、

三つ目「勉強している人の近くに行く」について

書いてみたいと思います。

 

 

【参考文献】

・ロイ・バウマイスター、ジョン・ティアニー(2013)『WILLPOWER 意志力の科学』、インターシフト


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