『精選版 日本国語大辞典』がコトバンクで無料で引ける!?

皆さんは日頃、国語の辞書を引きますか?
紙の辞書で、電子辞書で、スマホで、タブレットで引く人、
そもそも引かないという人もいるかもしれません。

インターネット上には無料で引くことのできる辞書が数多くあり、
その種類は多岐にわたっています。

例えば、「チョコレート・ココア辞典」。
これは日本チョコレート・ココア協会がインターネット上で提供している用語集です。
しかし、調べたい言葉を引くために、
その都度、わざわざ日本チョコレート・ココア協会のサイトを訪れたりしません。

そんな無料の辞書をまとめて引くことのできる辞書サイトがあります。
それが「コトバンク」です。

コトバンクは122の辞典・事典(2019年2月現在)の
見出し、本文を一度に検索することができます。

 

そして更に、
昨年2018年12月3日に、
『精選版 日本国語大辞典』が追加されたのです!

『日本国語大辞典(第二版)』と言えば、
50万項目、100万用例を収め、
その巻数13巻+別巻1巻という
まさに浩瀚にして圧巻の日本最大の国語辞典です。
ちなみに、通称は「日国」(にっこく)です。

学校で購入する国語辞典は
大雑把に大中小で分類すれば小型の国語辞典で、
収録語数の目安は8万語です。
一般的な国語辞典と単純に見出し語だけを比べただけでも、
その巨大さが分かると思います。

そんな『日本国語大辞典』の精選版は、
収録語を30万項目、用例を約30万に選び抜いて
全3巻で2005年から順次出版されたものです。

1冊定価15,000円ですから、
45,000円分の叡智が、
インターネット上で無料で引くことができるのです。
これは事件です!

日国の第二版が、
今より手軽にわたしたちの手元に来る日も、
そう遠くないのかもしれません。

コトバンクを横断検索できる無料のスマホアプリもあります。
便利に辞書がさくっと引けてしまいますので、
是非、何かをお調べの際に使ってみて下さい。

 

補足
ここで『日本国語大辞典』について
補足説明を入れておきたいと思います。
実は『日国』は中学生や高校生の学習にはあまり向きません。

それは言葉の意味が「語源から」
記述されていることに理由があります。
手元にある一般的な辞書で、
たとえば「かわいい」という言葉を例にとると

①小さくて愛らしい。「―人形」「―子犬」
②深く愛している。「―わが子」
『旺文社国語辞典第十版』

という記述が載っています。
これを『日国』の精選版で検索すると

① あわれで、人の同情をさそうようなさまである。かわいそうだ。ふびんだ。いたわしい。(1477)
② 心がひかれて、放っておけない、大切にしたいという気持である。深く愛し、大事にしたいさまである。いとしい。(室町末〜近世初)
③ 愛すべきさまである。かわいらしい。かわゆい。
(イ) (若い女性や子どもの、顔や姿が)愛らしく、魅力がある。(1836〜37)
(ロ) (子どものように)邪心がなく、殊勝なさまである。いじらしい。(1908)
④ (物や形が)好ましく小さい。また、小さくて美しい。かわゆい。(1828)
⑤ とるに足りない。あわれむべきさまである。やや侮蔑を含んでいう。(1477)
『精選版 日本国語大辞典』

このように出てきます。
用例は省きました。
また、意味の後ろに書いた数字は、
初出の用例として載っていた作品や史料の年だけを抜き出したものです。

比べていただくと分かると思いますが、
手元の辞書で引いた①の意味は、
『日国』では④の意味で出ていることが分かると思います。
手元の辞書の②は、『日国』では②ですね。

『日国』の意味を見ていると、
小さいものを見て「かわいい」という使い方は、
19世紀以降に使われるようになったということが分かるわけです。
また、それは、①から④という意味の変遷を辿ってきたということも見て取れます。

このような辞典の記述の特徴を踏まえると、
分からない言葉が出てきたときに
その言葉の意味だけ知りたいという活用シーンには
不適切な場合があるので、
中学生や高校生の学習には不向きというふうに書きました。
勿論、好奇心旺盛な中高生には、その限りではありません!

『日国』を使用する場合には、
その点に留意していただきたいと思います。


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